【クールベと海展ーフランス近代 自然へのまなざし】
臨時休館中です。
新橋から近くて気軽に行ける美術館です。
先週の日美で紹介されていましたね。
「私は目に見えるものしか描かない。
生きた芸術を生み出すことが私の理想なのだ。」
世界でもっとも傲慢な男を名乗った写実主義(レアリスム)の父だそうです。
クールベはノルマンディの浜辺で海を描いていた時に19歳のモネと出会います。意気投合した二人は何度も一緒にエトルタ海岸へ出かけています。
クールベはこの海岸の景色をとても気に入っていて繰り返し絵にしていますし、印象派の巨匠モネも連作を描いたのは20年後のことだそうです。
親しい後輩にモネがいたとは!
モネが印象派としての地位を確立できたのはクールベとの出会いが大きなきっかけだったのだろうと思われます。
そうやって絵とは引き継がれ行くものなんだな、と思いました。
画家とはグループを作ったり、親しい人を作らずに制作している印象があったりしますが、案外コミュニケーションがあったりするものだと思いました。
クールベは内陸の出身で長らくそこで生活していたために海を見たことがありませんでした。初めて見たのは彼が22歳の時にノルマンディーです。その驚きは相当なものだったのではないでしょうか?
今ならTVやネットで検索すれば、とりあえず、どんなものか知った上で海を見るので、それほどの驚きはないのかもしれませんが、100点あまりの海の絵のうち40点が波そのものをクローズアップしていることはその数だけ波に魅せられたのでしょう。
海をまだ見ていない時期はクールベは滝を気に入って描いたそうです。
所蔵先を見ると、国内のあちこちの美術館から集められているのがわかります。なかには“三井住友銀行“が含まれていたりしたので、普段お目にかかれない絵も見ることができたことになります。
なかでも海を描いた絵ということで、いま開催中のコンスタブルの絵もありました。ターナーの絵も数点きていまして、ここでも小さくライバル同士の絵が並んでいました。そういえば、モネも『アンティーブ岬』『アヴァルの門』など、海を描いてました。モネが海をしっかり描いているのは初めて観たかもしれません。
そしてクールベの波の絵は連続して展示されていて、1箇所からその数点の絵を一度に観ることができます。何か波音が聞こえてくるような、海に囲まれているような、波飛沫が感じられるような、凄みを感じました。
ずっと観ていられるな〜と、本当にしばらくジッと観ていました。
あまり事前情報なしで観覧したクールベ展ですが、大変、見応えがあって良かったです。機会が許せば、もう一度、行けたら行きたいと思います。