【野口哲哉展 this is not a samurai 】
@高松市美術館 2021.02.06〜03.21
日美アートシーンで紹介されていて、
これ観たかったんよ〜と、早速スケジュール確認してました。
初めて行く美術館は、いつでもワクワクドキドキします。
とてつもなく広いロビーの端っちょに受付があって、
その受付がどこか?と訊くインフォメーションさんが欲しいくらい広いです。
入館した途端にSAMURAIの世界が広がります・・・でも、
どこか魂が抜けているような??
戦国時代といえば、
毎日が生死の間を行き来しているイメージですが
案外そうでもなくて、
今の会社勤めとそんなに変わらないものがあったりするのかな?と
ふと思ったりしました。
前半の作品は写真NGですが
後半はOKでしたから、気になったものは片っ端から撮影しました。
基本、作品は小さいのですが
本当に人間をそのまま小さくしたようなリアル感で、
その表情と身につけている兜や鎧、甲冑の素晴らしい出来栄えに
ただただ圧倒されます。
でも、顔の力は抜けている・・・(笑)
本当にこれでいいの?と思うほど、見事な抜け方に感動すらありました。
兜を英訳すると「helmet(ヘルメット)」になるのですね。
何だか兜は「KABUTO」にならないんだな〜と違和感を覚えました。
SAMURAIが「THE MET」と書かれた赤い買い物袋に下げている作品は
お買い物をした嬉しさみたいなものはなく、
仕方なく買わなくちゃならないものを買った・・
それも同僚の分も・・みたいな虚しさの中にも、
おかしみみたいなものがあって、
決して空虚ではないところが救われます。
作者さんの思いが所々にキャプションで紹介されています。
そこそこ長めながら、ひとつひとつの作品を作った思いや
形はSAMURAIに行きつきながらも
これはSAMURAIではないという。
印象的なキャプションで
「鎧兜や指物を付けた人間が
昆虫や甲殻類のように見えることがあります。」
「人は儚い夢を見て、心に鎧を纏います。」など、
作者であるとともに詩人だな〜と
作品とセットで観ることで、なおさら心に刺さります。
戦国のSAMURAIは身を守るために武装し、
私たち現代人は、何を守るために心に鎧をつけているのでしょうか?
とっても奥の深い、思えば思うほど抜けられなくなりそうな
SAMURAIさんたちです。
面白かったのは
実際にシャネルとコラボがあったときに制作されたもので
SAMURAIがシャネルのロゴだらけの鎧を身につけていて
見ていると、あんまりシャネルに興味なさそうな?というより
何?このマーク・・と、ちょっと不服そうな様子がまた笑えました。
ずっと見ていても飽きないし疲れないし、あ〜終わっちゃった〜という充足感に満ちた展覧会でした。
またの新作を楽しみに待ちたいと思います☆