【河鍋暁斎の底力】
@東京ステーションギャラリー 2020.11.28〜2021.02.07
本当なら、なかった展覧会らしいです。
予定していた海外から美術品を借りての展覧会が今回のコロナで叶わず、
学芸員さんの間で空いた日程をどうしようかと考えていたところ、
じゃ〜「いつかは」と温めていた企画が今回の暁斎だそうです。
暁斎好きとしては、よくぞ開いてくださいました!と感謝ばかりです。
しかも完成品ではなく、そこまでに辿る過程が中心で大変、
貴重なものをたくさん観ることができました。
デッサンがほとんどかと思えば、しっかり着色しているものも多数あり、
もうこれで完成でもいいんじゃない?と素人目には思うようなクオリティで、
ひとつひとつ見応えがあって、しかも展示点数が半端なく、
見終わる頃には、心地よい疲れを覚えるくらいでした。
下絵だからなのか、いろいろ指示が入っていたりして、
さながら設計図のような印象がありました。
写生に模写、宴席で即興の絵を描く席画など、
描けるものは何でも描く・・という情熱が感じられます。
ワタシが暁斎の絵のスタイルで好きなのは、骸骨が何かをしている絵です。
お茶を飲みながらくつろいだり、花を生けたり、
今回はそこに手花火を楽しんでいる絵も初めて観ることができました。
でもそれをしているのがみんな骸骨です。
楽しいこと好きなことは
死んでも(骸骨になっても)したい、というメッセージにも思いました。
あと暁斎が帯のデザインに興味を持っていた時期にお屋敷に呼ばれて、
その時に女性の尻ばかり追いかけて、
屋敷の旦那様に大変なお叱りを受けたことがエピソードとして紹介されていました。
これだけだとただの変な人ですが、
追いかけていたのは尻ではなく、珍しい図案の帯だったとわかり、
そのデッサンも実際に展示されていて細かく丁寧な筆使いで
本当に研究熱心な方だったんだと思いました。
暁斎の略歴を見ていてビックリしたのは、
奥さんが鈴木其一の次女の方だということ。
略歴の前で、え〜〜!と小さく叫んでしまいました。
そんな繋がりがあるんか・・・と思うのと同時に、
じゃあ暁翠(暁斎の娘)のお祖父ちゃんは鈴木其一ということか〜と確認していました。
これは開会中にもう一回くらい観ておきたいです。
予約制ではありますが行った時は本当に数えるほどの来館者で
ゆっくり時間許すまで観ることができました。
図録も欲しいな〜と思いましたがズッシリしたタイプだったので、
ちょっと今回はやめましたがまた来れたら持って帰る準備して行こうと思いました。