🟥Eテレ/浮世絵EDO-LIFE 5月4日
「大きな鯉(こい)のぼり 広重 “名所江戸百景 水道橋駿河台“」
Eテレの5分番組・・なんて5分は長くて濃ゆいんでしょう☆
火曜午前10:50〜10:55
(再放送)水曜午前05:55〜06:00/金曜午前11:45〜11:50
浮世絵の世界はそのまま江戸の暮らしを今に伝えています。
さぁ〜今日の一枚を見に行きましょう!
今日の一枚
端午の節句は江戸中期にもなると武家のみならず、町人にも祝うことが広まり、
この浮世絵には武家・町人それぞれの端午の節句の様子が描かれています。
江戸城田安門のあたり・・今も皇居北側に残っています。
手前に流れるのは神田川。
この川は前回で当時としては珍しい人口の川であると、ご紹介されていましたね。
武家屋敷一帯には鯉のぼりが見当たりませんが・・・
そのかわりといいますか、対の「幟旗」が見えます。
幟旗は戰の時に背中にさしていたもので、それがそのまま端午の節句の飾り物になりました。幟旗には家紋が描かれ、遠くからでもそこが誰の屋敷かがわかりました。
中央の幟に描かれているのは「鍾馗」で子供を病気や悪霊から守ってくれる魔除けです。
「吹き流し」はいくつか種類がありますがいずれも意味は同じで神様への目印です。男の子の健やかな成長を祈リます。
「幟旗」「吹き流し」は戰の道具から生まれた武家飾りなので町人は飾ることができません。
かわりに町人が飾ったのが鯉のぼりで、中国の伝説・登竜門からきていて、後継の立身出世の願いが込められています。
武家も町人も子供を思う気持ちに変わりはありませんね☆
【クールベと海展ーフランス近代 自然へのまなざし】
臨時休館中です。
新橋から近くて気軽に行ける美術館です。
先週の日美で紹介されていましたね。
「私は目に見えるものしか描かない。
生きた芸術を生み出すことが私の理想なのだ。」
世界でもっとも傲慢な男を名乗った写実主義(レアリスム)の父だそうです。
クールベはノルマンディの浜辺で海を描いていた時に19歳のモネと出会います。意気投合した二人は何度も一緒にエトルタ海岸へ出かけています。
クールベはこの海岸の景色をとても気に入っていて繰り返し絵にしていますし、印象派の巨匠モネも連作を描いたのは20年後のことだそうです。
親しい後輩にモネがいたとは!
モネが印象派としての地位を確立できたのはクールベとの出会いが大きなきっかけだったのだろうと思われます。
そうやって絵とは引き継がれ行くものなんだな、と思いました。
画家とはグループを作ったり、親しい人を作らずに制作している印象があったりしますが、案外コミュニケーションがあったりするものだと思いました。
クールベは内陸の出身で長らくそこで生活していたために海を見たことがありませんでした。初めて見たのは彼が22歳の時にノルマンディーです。その驚きは相当なものだったのではないでしょうか?
今ならTVやネットで検索すれば、とりあえず、どんなものか知った上で海を見るので、それほどの驚きはないのかもしれませんが、100点あまりの海の絵のうち40点が波そのものをクローズアップしていることはその数だけ波に魅せられたのでしょう。
海をまだ見ていない時期はクールベは滝を気に入って描いたそうです。
所蔵先を見ると、国内のあちこちの美術館から集められているのがわかります。なかには“三井住友銀行“が含まれていたりしたので、普段お目にかかれない絵も見ることができたことになります。
なかでも海を描いた絵ということで、いま開催中のコンスタブルの絵もありました。ターナーの絵も数点きていまして、ここでも小さくライバル同士の絵が並んでいました。そういえば、モネも『アンティーブ岬』『アヴァルの門』など、海を描いてました。モネが海をしっかり描いているのは初めて観たかもしれません。
そしてクールベの波の絵は連続して展示されていて、1箇所からその数点の絵を一度に観ることができます。何か波音が聞こえてくるような、海に囲まれているような、波飛沫が感じられるような、凄みを感じました。
ずっと観ていられるな〜と、本当にしばらくジッと観ていました。
あまり事前情報なしで観覧したクールベ展ですが、大変、見応えがあって良かったです。機会が許せば、もう一度、行けたら行きたいと思います。
🟩Eテレ/びじゅチューン!5月03日
「ザパーンドプーンLOVE」
月曜午後11:15
(再放送)金曜午後03:55/隔週金曜日午前10:10/翌週月曜日午前05:50
Eテレの5分番組・・なんて5分は長くて濃ゆいんでしょう☆
井上涼さんが美術作品をひとつモデルにして
作詞作曲うた、アニメーションまで手がけて紹介されています。
気になる渋めのコーラスは、ジョリー・ラジャーズです。
興味が湧いたら放送ご覧になってみてくださいね☆
今日のモデルは葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』
海外では『THE GREAT WAVE(グレートウェーブ)』と呼ばれて親しまれる有名な波ですね。
波が富士山に恋をして、気づいて欲しくて、あの大きな波を起こした・・・
いわゆるアピールということですね。なるほどな〜笑
コチラから見ていると富士山の方が大波に憧れているようにも見えるのですが💦
最後は富士山が気づいて手を振ってくれたので、めでたし、めでたし☆
このお手振りシーンは我が身にリアルに覚えがあり、きゅんとしました♡
【欧米を魅了した花鳥画 渡辺省亭】
@東京藝術大学大学美術館 2021.03.27〜05.23
今週の日美で取り上げられていました。
館は現在も臨時休館中です。
省亭はヨーロッパに渡った初めての日本人画家です。
パリには一年ほどの滞在で勉強しに・・というよりはヨーロッパの空気を楽しみながら絵を描いていたのではないかと推測されています。
まだまだ知らないでいるスゴい画家がいることを思い知らされます。
美術館側は「観に来るかな?」と恐れることなく、どんどん紹介して下さることを思います。
画壇にいないと忘れられてしまったり、名前が残りづらいような印象があります。省亭も次第に中央画壇から距離を置いて、本当に自分の作品を求めてくれる人にだけ絵を描いたそうです。そのため展覧会などで紹介されたり多くの人の目に触れる機会も少なくなりました。国内よりも海外での知名度や評価が高く、今回の展覧会で里帰りの作品も多かったです。日本人が知らない日本人画家は案外と多いです。そして、その素晴らしさを知らないでいることも。
なかでもスゴい!と思ったのは迎賓館赤坂離宮(国宝)にある「花鳥の間」を華やかに飾る七宝額の原画です。応挙を彷彿とさせる写生力に構図の素晴らしさに少しの画面でも充分すぎるほどの画力です。
ワタシは赤坂離宮に行ったことがないので七宝額を拝見できるなら、ぜひ鑑賞したいと思います。また省亭の原画のみならず、七宝で仕上げた濤川惣助がまた素晴らしく、濤川は省亭の原画を忠実に七宝に写すことに尽力しました。
会場にはこの他にも共作の作品がいくつもあり、無線七宝の技は、そのどれもが溜息の出るほど美しいです。「ナミカワ」ときいて、同じく七宝の並河靖之を思い出し、何か関係あるのかな?と思いましたが、どうも特別には関連していないみたいで、あるとすれば同じ年(明治29年)に帝室技芸員に任命されたということぐらいのようです。しかしながら、超絶技巧という呼び方がありますがまさにその通りです。
絵はストップモーションで描いていると、今まで思っていましたが
花の散り始めを描いていて、実はそれは散っている途中を表現していて、少し画面右に散る雄蕊を描いているということは風が少し吹いていることまで描いているということに驚きます。
省亭は主に動植物を描いていますが人物もちゃんと上手い画家だと思います。
『四季江戸名所』の美人図など見事です。
ずっと観ていられる美しさ、飽きない素晴らしさに圧倒されました。
動物も視線がコチラを“チラ見“していたりして、何か絵と観ている側が繋がっているような感じになりました。
所蔵先の一つに“斎田記念館“というお名前が目立ちました。自粛が解除になったら行ってみたいと思います。
🟨Eテレ/アートシーン 5月09日
日曜午前09:45〜10:00
(再放送)日曜午後08:45〜09:00
展覧会を紹介する番組です。
ワタシはかなり参考にして出かけることが多いです。
またどなたかのキッカケになれば・・と思います☆
緊急事態宣言中のため5月11日まで、
東京・大阪については5月31日まで休館されている館が多いかと思われます。
ホームページなどで最新情報をご確認くださいね。
🔴『ミネアポリス美術館 日本絵画の名品』
@サントリー美術館(東京・港区)
2021年6月27日まで※臨時休館中
《巡回》
@MIHO MUSEUM(滋賀・甲賀市)9月18日〜12月12日
@山口県立美術館(山口市) 2022年3月01日〜4月17日
この展覧会はとても行きたくて、会期も6月な下旬までと長いので、観にいくチャンスはあるかと思い楽しみにしています。
巡回してくれるのもウレシイですね。
🔴『神宮の杜芸術祝祭 気韻生動』
@明治神宮 宝物殿(東京・港区)
2021年5月30日まで※臨時休館中
「気韻生動」とは、芸術作品の気高い風格や気品を意味します。
今回の展示のメインが平櫛田中とのことで、これはかなり行きたいですが会期が5月30日までなので難しいでしょう・・できれば会期延長を希望します。
🔴『古き良き日本の美 渡辺省亭と谷文晁模写《佐竹本三十六歌仙絵巻》』
@斎田記念館(東京・世田谷区)
2021年5月22日まで※臨時休館中
斎田美術館は渡辺省亭の展覧会で知った館で、いま一番行ってみたいところですが・・・会期が緊急事態宣言中ですね💦
コチラも伺うのはちょっと難しそうで、可能であれば会期延長を希望します。
🔴『今、新しい風が吹く 野見山暁治展』
@枕崎市文化資料センター南溟館(鹿児島)
2021年5月30日まで
野見山さんの絵を観ると、何かザワっとしたものを感じます。
そして、しばらく観ていると絵の前から離れられなくなります。
「見つめながら、あるいは思いつくままに手を動かしていく即断の緊張が絵を創っていくものだと思い、今に至っている。その間初ない手の動きが対象の表面にとらわれないところまで切り込んで行った時に筆を置けば良い」と残しています。何を描こう・・ではなく、手を動かした先にできたものが作品である、ということでしょうか?
🔴『旅立ちの美術“Departurs”in Arts』
@静嘉堂文庫美術館(東京・世田谷区)
2021年6月06日まで※臨時休館中
1977年から一般に公開されて今年で45年になります。
そして来年、館は東京・丸の内に場所を移します。
世田谷区岡本での最後の展覧会・・移転先は便利な場所にはなりますが、ここはここでとても素敵で大好きな場所だったので残念でもあります。
最後にもう一度ぜひ行きたいと思いますので、会期延長が可能であればしていただけるとウレシイです。
今回の緊急事態宣言は美術館・博物館まで休業要請の範疇となり、とくに東京・大阪は休業要請が期間延長されて本当に残念でなりません。
そのつづき③最終回【特別展 国宝鳥獣戯画のすべて】
@東京国立博物館(現在休館中)2021.04.13〜05.30/事前予約制
この絵巻は、なぜ国宝なのか??
最初にこの絵巻を観たとき、まずカワイイ♡
たしかに動物の動きをよく描いているし、おかしみも充分で、ずっと観ていて飽きないし、ずっと観ていられる魅力に溢れている。
でも・・・国宝?
ちょっとそれはイカガなものか・・と素人ながらに首をひねったものでした。
一番、目にする機会が多い甲巻はさておき、たまに珍しく乙巻丙巻丁巻が観覧できても甲巻のインパクトと完成度の前にいささか見劣りを感じて、途中であまり観なくなってしまうこともありました。でもそれは大いなる間違いだと今回の展覧会で思い知りました。これまで全巻を見る機会はほぼナイに等しく、一部を観て観た気になっていたということです。
平安時代末期に最初の巻が描かれて、今の時代まで保存されてきたことを考えるだけでもきっと奇跡的なことなのだと思います。
少しずつ研究や調査方法がアップしていることにより、この絵巻はかなり身分の高い方もしくは国家レベルのオーダーであったであろうことと、これを鑑賞していた人々もそれなりの立場にあったということです。
保存されていた高山寺では他の経典を最重要とするなかでの鳥獣戯画は「シャレ本」として整理されていたのです。
明治時代となり、主に各寺院に収まる美術品の調査が国家プロジェクトとして動き出し、ついに鳥獣戯画は晴れて国宝に指定されます。
経緯を知るにつれ、まさしく国宝、いえ国宝でなければならない・・と感じました。高山寺、お寺にとっては経本が何よりの宝物だけど、鳥獣戯画を観て正しい判断をした調査団に敬意を表したいと思いました。
コロナによる緊急事態宣言が発令され、東博は当面の間、休館になりました。
今後どのようなスケジュールになるかは分かりませんが、この何より楽しい宝物がたくさんの人の目に触れる機会が一度でも多いことを願うばかりです。
🟥Eテレ/浮世絵EDO-LIFE 4月27日
「不思議な絶景?北寿 東都御茶ノ水風景」
Eテレの5分番組・・なんて5分は長くて濃ゆいんでしょう☆
火曜午前10:50〜10:55
(再放送)水曜午前05:55〜06:00/金曜午前11:45〜11:50
浮世絵の世界はそのまま江戸の暮らしを今に伝えています。
さぁ〜今日の一枚を見に行きましょう!
今日の一枚
「昇亭北寿 “東都 御茶ノ水風景“ 」
この時代には御茶ノ水からも富士山がしっかり見えていたのですね。
描かれている川は「神田川」。
でもこの景色、なんと人口に作られたものなのです!
かつて、ここには神田山という台地があり、江戸時代の初めに大工事で掘り進めて神田川を作ったのです。江戸城の外堀としても活用されていました。
かつては台地があったこと、そして、まさか神田川が人工の川だったなんてホント驚きです!そして切りだった崖から富士山が見える場所として人気の観光地となった場所なのだそうです。富士山を見るために台地を削るまでするなんて・・今は建つビルの高さで、どんどん見える場所が限られてきています。
その大工事を担ったのが仙台藩主の伊達政宗。幕府は政宗の力を削ぐ目的で工事を任せるなど政治的意図もあったのです。
この景色には富士山の他に観光地の名所となったものが描かれています。
それは水道橋。屋根と壁のあるものがが見えますがこの橋は人が渡るためではなく、なかを水が流れています。
観光客は当時、珍しかったこの水道橋を見るためにも多く集まったのですね。
また水道橋の管理小屋は兼業として、うなぎ屋さんを営んでいました。
その、うなぎ屋さんから逃げ出したウナギが住み着いた神田川でウナギを釣る人の姿も多く見られたのですね。
たった一枚の浮世絵にものすごい情報がてんこ盛りでした。