【欧米を魅了した花鳥画 渡辺省亭】
@東京藝術大学大学美術館 2021.03.27〜05.23
今週の日美で取り上げられていました。
館は現在も臨時休館中です。
省亭はヨーロッパに渡った初めての日本人画家です。
パリには一年ほどの滞在で勉強しに・・というよりはヨーロッパの空気を楽しみながら絵を描いていたのではないかと推測されています。
まだまだ知らないでいるスゴい画家がいることを思い知らされます。
美術館側は「観に来るかな?」と恐れることなく、どんどん紹介して下さることを思います。
画壇にいないと忘れられてしまったり、名前が残りづらいような印象があります。省亭も次第に中央画壇から距離を置いて、本当に自分の作品を求めてくれる人にだけ絵を描いたそうです。そのため展覧会などで紹介されたり多くの人の目に触れる機会も少なくなりました。国内よりも海外での知名度や評価が高く、今回の展覧会で里帰りの作品も多かったです。日本人が知らない日本人画家は案外と多いです。そして、その素晴らしさを知らないでいることも。
なかでもスゴい!と思ったのは迎賓館赤坂離宮(国宝)にある「花鳥の間」を華やかに飾る七宝額の原画です。応挙を彷彿とさせる写生力に構図の素晴らしさに少しの画面でも充分すぎるほどの画力です。
ワタシは赤坂離宮に行ったことがないので七宝額を拝見できるなら、ぜひ鑑賞したいと思います。また省亭の原画のみならず、七宝で仕上げた濤川惣助がまた素晴らしく、濤川は省亭の原画を忠実に七宝に写すことに尽力しました。
会場にはこの他にも共作の作品がいくつもあり、無線七宝の技は、そのどれもが溜息の出るほど美しいです。「ナミカワ」ときいて、同じく七宝の並河靖之を思い出し、何か関係あるのかな?と思いましたが、どうも特別には関連していないみたいで、あるとすれば同じ年(明治29年)に帝室技芸員に任命されたということぐらいのようです。しかしながら、超絶技巧という呼び方がありますがまさにその通りです。
絵はストップモーションで描いていると、今まで思っていましたが
花の散り始めを描いていて、実はそれは散っている途中を表現していて、少し画面右に散る雄蕊を描いているということは風が少し吹いていることまで描いているということに驚きます。
省亭は主に動植物を描いていますが人物もちゃんと上手い画家だと思います。
『四季江戸名所』の美人図など見事です。
ずっと観ていられる美しさ、飽きない素晴らしさに圧倒されました。
動物も視線がコチラを“チラ見“していたりして、何か絵と観ている側が繋がっているような感じになりました。
所蔵先の一つに“斎田記念館“というお名前が目立ちました。自粛が解除になったら行ってみたいと思います。