🟨Eテレ/新日曜美術館 3月07日
日曜午前9:00〜09:45
(再放送)日曜午後08:00〜08:45
今日はいつものアートシーンはお休みでしたが
本編「震災10年 アーティストたちの想像力」が
とても気持ちに残ったのでレポしようと思います。
今回の日美は、
@水戸芸術館現代美術ギャラリーで2021.05.09まで開催中の
【3・11とアーティスト 10年目の想像】の会場からの発信です。
タイトルからして、本当はあまり視聴の気がすすみませんでしたが
そこはさすが日美さんです!
あっという間に画面に引き寄せられていました。
3月11日、今年は東日本の震災から10年・・という言葉がどこでもおどり、
ワタシはそれを見るたび、10年だから何だというのか・・今も復興は続いていて、何も終わっていないのに何かの記念か節目かのように「10」という数字を便利に使っているのがなんともいえないイヤな気持ちにさせていました。
でも、表現者は立ち止まってなどいませんでした。
震災直後は表現よりは記録することに集中していた作品が
いま、この状況を自分たちのできる方法で様々なカタチにしています。
ニュースでは流れない、でも大切な景色がありました。
亡くなった人や無くなった場所を弔うためにたくさんの花を土地に暮らす人々が植えて育てていました。これを知らずに見たら、地震の後の何もない場所に作った、ただキレイで巨大なお花畑でしょう。イタリア映画『ひまわり』を思い起こさせる風景です。しかし地震から3年後、高台を作るため、そのお花畑も土の下に埋もれてしまうのです。何かダム建設のためにひとつの集落が水の下になるような様を見ているようで・・ひとつのものを作るために、ひとつのものを容赦なく壊す、いやいや地震で充分いちど壊れているでしょう??と、つい言葉になります。
画家の瀬尾夏美さんは、そのエピソードを絵にします。
高台の町の下に、もうひとつ町があって、そのふたつは階段で繋がっていて、
下の町に降りていくと、あの広い広いお花畑がありました。
下の町にはかつて暮らしていた家もあって、その家に自分の子供を案内する、というストーリーが添えられています。
画家の加茂昂さんは一枚の立て看板が印象的な絵を描いています。
何でもない畦道なのに、小さな虫は草むらの間を行き来しているのに、
風は渡るのに、人だけがその先に行けない。
たった一枚の看板と赤いコーンで遮られているだけのその先には・・。
地震だけでなく放射能の危険をともに背負うことになった福島県。
立ち入りを禁止された場所。
ありふれた美しい景色の中にある人工物の不自然さも感じるものの、
そこにはさらに目に見えない厚い壁を感じる絵です。
絵を描くこと、何かを表現することがこんな時なんの役にたつんだろう・・と
その度に繰り返される疑問だと思います。
それでお腹が満たされるわけでも住む場所がよくなるわけでもないけど
カタチは人に何かを思う気持ちを起こさせることができて
色は気持ちにエネルギーを注ぐものではないかと
そんなことを考えたりします。
これはもう水戸芸術館に行って、
アーティストさんの想いを体感したいと思いました。