【動物絵画はお家芸ー大坂・森派の絵描きたちー】
@大阪歴史博物館 6階特別展示室2021.04.03〜05.17
昨年【猿描き狙仙三兄弟ー鶏の若冲、カエルの奉時も】というタイトルで一度は開催されたにもかかわらず、コロナのためにわずか3日で休止になり、再開されることを強く思っていましたが結局そのまま中止に・・・。本当に楽しみにしていた展覧会だったので、とても残念に思っていた展覧会を今回あらためて開催してくださいました。ただ若冲は今展には出品はなく、狙仙三兄弟をメインに再構成されたものですが、もうそれで充分です〜✨
猿描き狙仙、のあとには
土佐派の鶉、岸派の虎、カエルの松本奉時・・と続くそうです。
狙仙三兄弟の生きた時代は円山応挙が京都で活躍していた時代と重なります。
当時の絵師の多くが絵を描くなら狩野派を学ぶことが道とされていた、そんななかで応挙が写生に基づいて絵を描くという新しい画風を生み出していたことが少なくとも狙仙のその後の作風に影響した可能性は大きいようです。
狙仙三兄弟は誰もが絵が達者で、それぞれに個性があって、面白かったです。あとは好みかな〜と思いくらいに。
長兄の陽信は王道の狩野派に学んで、おめでたい絵が多いです。『諫鼓鶏図(かんこどりず)』は天子を諫める時に打ち鳴らす太鼓が使われないほどの世の中となり、やがて安心して鳥が住み着く様子を描いたものです。
実は最近、ウチのベランダに鳩が巣を作って卵まで産んでてビックリしました💦ウチが卵が産めるほど安心して住めそうだと思ってくれたならウレシイですが・・ちょっと話が外れましたが、そんな感じ?と思いながら観ていました。
次兄の周峰も狩野派に学んだ方ですが大真面目な絵もありますが狙仙が得意とした動物絵画も多く、龍にしろ、虎にしろ、舌をペロッと出していて、どこかキュートです。
そして末弟の狙仙ですが、確かに「猿描き」といわれるだけあって、どの猿も本当に見事です。
猿といえば『孫悟空図』がまた素晴らしくて!頭に輪がないので、まだ玄奘三蔵に仕える前の姿でしょうが、すでに特別な力はあったみたいですね。ふ〜っと吐き出された息が、たくさんの分身となっていく様が描かれていて本当に見事としか言いようがありません。
三兄弟以外でも展示がありまして、応挙の作品が3点ありました。
『遊鯉図』『双鶴図』『波濤図』です。
なかでも、こんなアップの『波濤図』は初めて観たかも?と思います。静かな画面が多いように思う応挙にしては波を描く・・というイメージがあまりなかったから驚きましたし、スゴいズームインで画面いっぱいの“波“です。コチラの作品は大阪天満宮・蔵です。
波といえば、やはりまず北斎を思い浮かべなすよね。波頭をどう描くか、どうオリジナリティで描くかで、画面が決まるような気がしました。
あと勝部如春斎という西宮・大阪で活躍した方の絵も気になりました。
狙仙の師と伝えられています。シンプルな構図ですが、描かれたものの姿は、それぞれに動きがあって、ついつい目で追っていることに気づきます。
そして以前、京都・宝蔵寺(若冲ゆかりの寺です)で展覧会があった時にチケット代わりにいただいたポチ袋の柄が松本奉時のカエルでした。とても気になっていたら展示もあり、このカエルいいな〜とずっと思っていました。本職は表具師さんで、若冲とも仲が良かったそうです。今回もカエルの軸(正しくは『蝦蟇図』)の展示があり、しばらく堪能しました。
奉時は本当にカエルが好きで飼ってもいてグッズも集めて、かなりのカエル愛好家だったそうです。できればそのコレクションも見てみたいと思いますが難しいかもですね。奉時のカエルは本当に味わいのあるカエルです。
全体的にそんなに点数は多くないのですが、むしろ厳選して展示されている印象もありました。観ることはもうないかも?と思っていた展覧会を一年越しで観ることができてヨカッタです。