【江戸のエナジー 風俗画と浮世絵】
2020年12月19日〜2021年02月07日
久しぶりに静嘉堂文庫美術館に行きました。
前回は天目茶碗を観覧に行きましたがその日もお天気がよく
自然光の元で見た天目茶碗は本当に宇宙を思わせる美しさでした。
入館して、すぐの序章には日美アートシーンで紹介された
英一蝶の『朝暾曳馬図』がありました。
驚いたのは英一蝶は流罪になった経緯があることです。
それほど知られた絵師ではないですが気持ちに残る絵を描かれると思います。
絵の中の人も馬も何やら楽しそうで、しばらく観ていても飽きません。
その横にあったのが円山応挙『江口君図』で、金泥で描かれた前帯の宝相華文がとても美しいです。応挙らしく丁寧は筆運びが感じられました。
次の大きな部屋はよく知られた絵師の作品が目白押しで、
一部屋にこれだけの名品を一度に観られたことはありません。
歌川豊広(広重の師)の『見立蝦蟇撤拐図』には
紙折したガマが描かれているのですが
実際に折ってみたカエルが添えられていていました。
このように絵の中のものをリアルに作ってみるのも面白いと思いました。
それから北斎の『吉原妓楼の図』に『桜下遊女と禿図』を観ましたが、
どちらにも他の絵師の作品にはみられない女性の顔を正面から描いたものです。
顔の正面を描くのは難しいと思います。
でも北斎にかかると自然で違和感なく目に飛び込んでくるので、
やっぱりスゴいです☆おそらく手本などないなかで
北斎の目で捉えたものを描いたということなのでしょうね。
最後に観たのは鈴木其一『雪月花三美人図』でした。
どうしても酒井抱一の弟子という見られ方も多いとは思いますが
ワタシは其一の絵は琳派を引き継ぎながらもオリジナルな感じがして好きです。
緊張感漂う画面は美人が三人描かれていても
ヒトツにまとまった世界観をつくっていました。
するっと観るとそれほど時間はかからないでしょうけど
どれも素晴らしくて充実した観覧タイムでした。
コチラの美術館は移転が決まっています。
移転先は丸の内なのでアクセスはとても良くなります。
ただこの岡本の場所は静かでとても素敵な環境にあるので
少々、遠くても来て良かった・・と帰るときにはいつも思います。
天目茶碗も自然光で観られなくなるかな??と思うと
それは寂しいな〜と思わざる得ませんけどね。