【文化財修理の最先端】
2020.12.19〜2021.01.31
京博の敷地内に国内初の指定文化財を安全に修理することを目的とした
文化財保存修理所があります。
今日、何の不自由なく貴重な文化財を展示観覧できているのは、
このような努力の賜物であると、ここ2、3年のうちで感じることが増えました。
日本の修復の素晴らしいと思うのは描き直したりするのではなく、
汚れのみを丁寧に取り除いてオリジナルを最大限に残し、
表装などの修理についても同時代のものを用意するなど、
制作時期とほぼ変わらないように修復というよりは、
個人の持ち物を修理するのに近いかな?と思いました。
展示として注目したのは、
パッと見たところ普通に金字で宝塔が描かれているように見えますが
よくよく見ると、いえ単眼鏡で見ないとわからないのですが
線に見えるのは全て法華経が書かれているのです。
それほど小さく細く、線以外には見えないところまでの細かさで全8幅が描かれています。
これには本当に驚きましたし、単眼鏡を持っていてよかったと思うところです。
しかも表装は絵で表現されています。
それから、伊藤若冲で初見の作品がありました。[石灯籠図屏風]です。
リーフレットにも採用されているのですが、
点々で表現された石灯籠のザラザラ感と灯籠の周りに描かれた鳥の愛らしさに良い絵だな〜と思っていたのですが、
それが若冲とは思わずにいたので、ビックリしました。
タッチの幅広さに驚くばかりです。
屏風というスタイルに石灯籠・・・
今ならそれもあるかと思いますが若冲の時代なら、
おめでたい柄が好まれたと思うけど、石灯籠の向こうに景色が広がっていて、
部屋からは繋がっているように見えたのかな?と想像しました。
古いものには古いなりの味わいというものがあるけれど、
そこも保ちながら後世に残していくということは必要なんだろうと思います。
作品を生み出すことの大変さと、
それを保存していく大切さを知る機会になりました。