【京の至宝II 江里佐代子 截金の世界】
@美術館「えき」KYOTO
2021.01.02〜01.24
TVで京都迎賓館の特集を見ていて、その舞台扉の製作があまりに美しく、
一気に魅了されました。
実際に截金の技法を実践されているのを見ると、
シンプルながら息を止めて下書きのない素地に筆二本を操りながら美しい紋様を紡いでいく・・・そんなイメージがありました。
またチケットの[截金彩色まり香盒]などの美しい色と截金のコラボレーションが本当に素敵で、
これは目の保養にも是非に・・・と出かけました。
江里佐代子は京刺繍の老舗に生まれ、仏師の江里康慧と結婚しました。
彩色の一切ない仏像に截金だけの装飾は決して派手ではないけれど、内側から輝くような金銀がかえって像の力強さを醸していました。
佐代子は截金の技が途絶えることを危惧し、工芸品や宗教は異なるが祈りの形に変わりない・・とキリスト教会からの注文も快く受けています。
やがて衝立や飾筥など工芸の分野にも世界を広げていきますが佐代子は、
どの作品に対しても仏への敬意を忘れず取り組みます。
だからか、ただ美しいのではなく、神聖な空気が流れているような、
そこにたとえば値段などの情報があると一気に世間ズレしてしまうものですが、
たとえそうでも、この緊張感のようなピンと張った糸はいつまでも切れないように感じました。
それほど多量の作品が展示されているのではありませんでしたが、ひとつひとつが見応えありましたので、見終わった頃には大変な充実感がありました。
どこかのお寺か宗教施設で、江里廉慧と佐代子の作品に出会える日を楽しみにしています。