【川端 誠『鳥の島』他全6作 絵本原画展】
@小さな絵本美術館・八ヶ岳館(長野・八ヶ岳) 2021.04.10〜06.20
神戸市ファッション美術館で観た『スイスの絵本展』がきっかけでコチラの美術館を知りました。はじめは本の出版社の名前と思っていたので、ネットで検索してみると、なんと立派な美術館が本館と合わせて2館もあることに驚きました。
それも火曜日が休館日でスケジュールにぴったりで、もうひとつ八ヶ岳館に行くバスはGWまでは土日祝日のみ、しかもちゃんと観る時間を考えて動くとなると朝の1本だけが唯一の移動手段で💦
この時ラッキーだったのは、いつもなら避ける土日にスケジュールが合ったので、無事に行くことができました。
しかも!めちゃくちゃ良いお天気⭐︎
美術館までのバス移動の景色も楽しみながら♪
到着したところからもう大興奮!
鳥がさえずり、白樺が美しく、間近に山が見えて、こんなに広い敷地の中にポツンとある可愛らしい建物が美術館。
ちょっと良いお宅に伺うときの緊張感のようなものがありましたが入っていくと、とっても気さくな女性が対応してくださり、一気に和みました。
さて、展示室へ。
室内とくに作品は撮影NGです。
絵本って、ものすごい労力で出来ているんだな・・と本当に思いました。
一枚の絵で済むようなことも絵本のページ数分だけの絵を描いて初めて、一つのものになるという、途方もないものを感じました。
『鳥の島』の絵本はお話自体はとてもシンプルでサラサラっと進みますがとっても奥が深いと思いました。新しい大地を目指して飛び立った鳥たちが力尽きて落ちたところが長い年月の果てに島になる。そこのまた新しく飛び立った鳥がやはり力尽きかけたところに島を見つけて、もう少しだから・・と、その島に辿り着き羽を休め、また飛び立っていく・・・もしかしたら、たくさんの鳥の思いを受けて大地を見つけて、新しい世界に降り立っただろうと想像させるような、子供も大人もそれぞれの年齢に合わせた読み方ができそうな、素晴らしい絵本だと思いました。
素晴らしいのはお話だけでなく、その描き方(表現)です。
立体的に原画自体が盛り上がっていて、これは何でどうしてるの??と不思議な作り方をされていました。
作品を造っている材料はアクリル絵具と自家製新聞紙粘土という、とても身近なものでした。新聞紙で作った粘土ならワタシにも作れるかも?と瞬時に思いました。
絵具だけで平面に描くのではなく、立体的に波や島が造られていて、この感じは原画でないとわかりにくいところでもあり、そこが原画と絵本の違いかと思いました。最初に絵本をパラっと見た感じではストーリーに目が行きがちでよくわからなかったので、ちょっと勿体無い感じがしました。
しかしながら原画で読むという贅沢を今回あじわいました。こういう読み方、見方があるのだな〜と新鮮でした。
こんなふうに作品としての絵本原画をゆっくり丁寧に観る機会もなかなかないので、こちらのような美術館は本当に貴重です。
いつまでも素敵な佇まいで続いていただきたいと思います。
【北斎漫画ー浦上コレクションー】
@明石市立文化博物館 2021.04.17〜05.23
『北斎漫画』十五編が紹介されています。
北斎スゴイ!と何度も思ったけれど、北斎は描くだけの人じゃなかった〜スゴイぞ北斎!と心の中で拍手してました。
二編[お面のいろいろ]
手本というより事典のようにも思えるほど、見開きにびっしりとお面が描かれています。キャプションがとっても丁寧で、全てのお面がなんなのか教えてくれています。これが撮影できたらな・・。
三編[雀踊り]
これは有名ですよね☆見開きにびっしりと踊りの動作が描かれていて、この通りに習えば踊れるようになるくらい丁寧に描かれています・・が、これはアニメーションの元祖ではないかといわれてます。
四編[潜水瓶と水中遊泳]
実際、このようなことがあったかどうかは不明ですが、北斎の遊び心で描いたものだとしても楽しいページです。なかでも《大きなガラス瓶に入って水中散歩》が今ならあるかも?と思いました。
六編[逮捕術]
ここまでくると、絵手本を超えて実践本になっているような??
しかし絵が上手いのですごくわかりやすく、絵の前で試してみたりしました。
八編[狂画葛飾振やせっぽち]
同じく[おでぶちゃん]版もありますが、やせっぽち版は痩せてるなどのレベルでなくてガリガリです。骨ばってるところまですごく描き込まれています。
十編[孫悟空]
孫悟空が吹いた息が人になっていく様子が、先日みた狙仙の孫悟空を思い出しました。そういうふうに描くのが定石かもしれないけれど、もしかすると・・狙仙が手本にしていたかも?と、ちょっと思いました。
十一編[海魔・狩人と大鳥][西洋砲で海魔を撃つ]
西洋砲で打った玉が前のページの海魔に命中しているように描かれています。なかなか面白く工夫されています。
十二編[彫師・江川留吉]
参考資料として展示されていました。北斎が最も信頼していた彫師で指名までしていたそうです。江川が手がけた十二編は他編よりも線が強く、細密であると評価されています。
十三編[魚籃観音]
ガレやヨーロッパの工芸家達が影響を受けたそうです。
ヨーロッパの芸術家に人気の構図だったようです。
十五編[東坡赤壁]
これで厳選された作品200点目です☆
なんでも浦上満氏のコレクションは世界一の質と量だそうです。
北斎漫画だけでひとつの展覧会ができるくらい本当に充実していました。
緊急事態中でも開館して素晴らしい展覧会を観せていただき感謝です。
🟥Eテレ/浮世絵EDO-LIFE 5月11日
「落書き?名作?衝撃の一枚!“荷宝蔵壁の無駄書“」
Eテレの5分番組・・なんて5分は長くて濃ゆいんでしょう☆
さぁ〜今日の一枚を見に行きましょう!
今日の一枚
「歌川国芳 “荷宝蔵壁の無駄書“」
国芳といえば猫の浮世絵が有名です。
この浮世絵が制作された時代は天保の改革といって、いわゆる贅沢禁止だったのですね。
なので、それまでの役者絵や美人画は贅沢とみなされたのを逆手にとって、
わざと下手に描いて「これは落書きです!」として、
そんな規制を見事にかいくぐりました。
ふだん上手い人は下手に描くのも上手いですね☆
ちょっと驚いたのがナレーションである猫の声を中條誠子さんがしていて、これがなかなかの声優さんばり!さすがです☆
国芳の遊び心がよく出ていて、大でき=よくできました!です☆
火曜午前10:50〜10:55
(再放送)水曜午前05:55〜06:00/金曜午前11:45〜11:50
🟤ミュージアムカフェ[藤田美術館あみじま茶屋]
そういえば・・ミュージアムカフェって、ステキなとこ増えましたよね☕️
近頃は鑑賞とセットで楽しみに行かれる方も少なくないと思うので今度こんなところイカガですか?
5月なのにお天気が落ち着かないと思っていたら梅雨入り宣言でビックリ💦
とはいえ、束の間の晴れ間どきに藤田美術館のプレオープンエリアあみじま茶屋に行ってきました🍵
ちなみに藤田美術館の展示室オープンは
来年2022年4月を予定されています。
もう本当に待ち遠しいです♪
これまでは建物を外から見るだけだったので、少しだけ扉の向こうに行けて感激しました。
お茶(抹茶・煎茶・番茶からチョイス)とお団子のセットが500円で、ほぼ貸切でのんびりしてきました。
お庭も手入れされていて、新しい茶室も出来ていました。
コケが可愛らしくて思わずパチリ☆
展示室オープンがますます楽しみでなりません♡
🟨Eテレ/アートシーン 5月16日
日曜午前09:45〜10:00
(再放送)日曜午後08:45〜09:00
開催中の展覧会を紹介する番組です。
ワタシはかなり参考にして出かけることが多いです。
またどなたかのキッカケになれば・・と思います☆
緊急事態宣言中のため休館されている館も多いかと思われます。
ホームページなどで最新情報をご確認くださいね。
🔴『コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画』
@東京ステーションギャラリー(東京・千代田区)
2021年6月27日まで(ただし現在臨時休館中)
《巡回》
@あべのハルカス美術館 11月20日〜2022年01月16日
@高知県立美術館 2022年1月29日〜3月21日
@富山県立水墨美術館 2022年7月15日〜09月04日
@岩手県立美術館 2022年9月17日11月06日
福富が一番気に入っていた画家が鏑木清方とのことで、今展覧会では多くの作品を鑑賞できそうで楽しみです。
岡田三郎助の『あやめの衣』を一時でも所蔵していたことには驚きました。
巡回先も多く、観るチャンスは多そうですが、できたら今、東京STGで観覧できたら・・と思っています。
🔴『井上涼展 版画スリスリびじゅチュ館』
@東広島市立美術館(広島)
2021年6月13日まで
Eテレのびじゅチューン!でおなじみ井上涼さんが版画を実際に体験しての展覧会とのことで、この展覧会はゼヒ行ってみたいと思います!
ワタシも浮世絵をよく観るようになって、彫師・摺師の技術が最近とても気になるところです。少し会期には余裕があるようなのでスケしたいと思います。
🔴『空間に生きる画家 猪熊弦一郎』
2021年06月06日まで(ただし現在臨時休館中)
会期もそんなにない中での休館・・美術鑑賞は不要不急なのでしょうか?
少なくともワタシには不急であることはあっても決して不要ではありません。
それはどんな時でも。
@長野県立美術館(長野市)
2021年06月06日まで
驚いたのは今年4月にリニューアルではなく新規開館した・・ということです。県立の美術館は全ての都道府県にあると勝手に認識していたし、長野は自然豊かで題材に描かれている絵も多い・・そんなこともあるのですね。
この展覧会は一昨年くらいでしょうか、閉幕ギリギリ駆け込みで福井県立博物館か美術館かに観に行きました。当時は巡回するような感じではなかったし、これからの文化財保存を考える上でターニングポイントになるような発表だと感じました。新しい美術館のお祝いにふさわしい展覧会だと思いました。
🔴『川瀬巴水展』
@平塚市立美術館(神奈川)
2021年06月13日まで
これもゼヒ行きたい展覧会です。
川瀬巴水を知ったのは、吉田博展を観に行って同時代の版画も紹介されているなかに巴水があり、まさしく一目惚れでした。吉田博もたしかに素晴らしいがワタシの気持ちにグッと来たのは巴水の一枚でした。最近は新版画としての展覧会も多くなり観る機会も増えてウレシイ限りです。
【鋳物 モダン 花を彩る 銅のうつわ】
@泉屋博古館(京都・鹿ケ谷) 2021.03.13〜05.16
5月12日に緊急事態宣言中ながら再開館となり、手元の招待券を無駄にせず行くことができました。
展覧会そのものはどうかな?という感じでしたが、そもそもこちらの休憩室が大好きなので、お天気の良い日を見計らって出かけました。
今回は最寄のバス停から、いつも通る道とは違う道を試しに行ってみましたら、とてつもなく正門に近いことがわかり💦
ただ前回まで使っていた道はお庭を横切って行くのが好きだったので帰りはそうしました。そしたら帰りのバスがすぐ来てくれてラッキーでした☆
さて、展覧会はというと・・やっぱり観ないとどうだったかはわからないと思いました。観に行ってヨカッタ展覧会でした。
銅で作った花器に生けた花は長持ちする、ということがキャプションにありました。銅といえば10円玉です。ワタシもいけばなをするので、その話はよく聞いていました。たしかに長持ちします。今も神棚の榊を生けた花瓶に10円玉を入れています。ずっと昔から、わかっていたことなのですね。
富山大学芸術文化学部からの出品を初めて観ましたが富山県出身の大郷理明氏のコレクションが寄贈されたとのことです。富山大学に芸術系の学部があること、そして富山県は鋳物が特産であることも今回初めて知りました。
鋳物作家として「須賀松園(すが しょうえん)」が紹介されていました。名前を見ずに作品を順番に見ていましたら、途中からスゴイ!と思う作品が続きました。その最初が『⚫️(難読漢字で表記できません💧)龍文大花瓶(薄端)』という作品で、龍が何頭も絡み合っているような迫力のある花器なのですがその中央に施されているのが桜の木の下で釣りを楽しむ二人の姿。桜の咲く川辺でのんびりと釣りをして釣れた魚に喜ぶ様子がなんとも微笑ましく、周りの龍の迫力とは対照的で、素晴らしい対比だと思いました。これは初代須賀松園の作品です。この後、現在まで四代が継承されています。
初代も素晴らしいのですが、新しいモチーフに挑戦もしていた二代の作品も興味深かったです。「魁(さきがけ)」というモチーフが目を見張りました。
ツノを生やしていて、爪は大きく鍵のような、見た目は鬼の様相です。
今回も素晴らしいものをたくさん観せていただきました。
須賀松園一門の作品をまとまって観ることができたのも収穫でした。